特徴とゲームシステム
『テイルズ オブ ジ アビス』は2005年にプレイステーション2で発売された「テイルズ オブ」シリーズの一作であり、シリーズ10周年記念作品として開発された。本作は、「フリーランシステム」を採用したことで、戦闘中に自由にフィールドを移動できるようになり、シリーズに新たな戦略性をもたらした。
また、戦闘システムには「FOF(フィールドオブフォニム)」が導入されており、特定のフィールド属性が蓄積されることで、対応する特技が強化される。このシステムにより、環境を利用した戦略的なバトルが可能となっている。スキルカスタマイズや、キャラクターの成長を自由に設定できるADスキルなど、育成要素も豊富である。
ストーリー面では、「スコア」と呼ばれる運命の預言を巡るシナリオが展開される。世界を管理する「預言」が絶対視される社会で、主人公が運命と自由意志の狭間で葛藤しながら成長していく重厚な物語が特徴である。
時代背景
本作の舞台は、預言(スコア)によって管理された世界「オールドラント」。この世界は、「ユリア・ジュエ」という巫女が未来を予見し、そのスコアを基に政治や経済が動かされる社会である。
人々はスコアを信じ、それに従うことで繁栄を築いてきた。しかし、預言に従いすぎることによる弊害も生まれており、「自由意志を持たない社会」が形成されてしまっている。物語は、こうした世界に生きる人々が運命に抗う姿を描いている。
また、世界には「ローレライ」と呼ばれる高次存在が影響を及ぼしており、地殻変動を抑えるための「セブンスフォニム」の力が利用されている。しかし、これが戦争の火種となり、キムラスカ・ランバルディア王国とマルクト帝国の間で長年にわたる対立が続いている。
登場人物
ルーク・フォン・ファブレ 本作の主人公。キムラスカ王国の貴族であり、幼い頃の記憶を失っている。自己中心的でわがままな性格だったが、旅を通じて大きく成長していく。
ティア・グランツ ローレライ教団に属する少女で、冷静沈着な性格を持つ。フォニムの力を駆使し、歌による術を使用する。物語の重要な鍵を握る。
ジェイド・カーティス マルクト帝国の軍人であり、天才的な頭脳を持つフォニム研究者。皮肉屋な性格だが、仲間を大切にする一面も持つ。
アニス・タトリン ローレライ教団の守護役を務める少女。可愛らしい外見とは裏腹に、現実的な考え方を持ち、金銭に執着する面もある。
ガイ・セシル ルークの親友であり、剣術に優れた青年。女性恐怖症という弱点を持っているが、過去には大きな秘密が隠されている。
ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア キムラスカ王国の王女で、民を想う高潔な精神を持つ。弓を使った戦闘を得意とし、戦争を回避するために奔走する。
主要な敵やボス
ヴァン・グランツ 本作の黒幕であり、ローレライ教団の導師。スコアに支配された世界を否定し、古代技術を用いて新世界を創造しようとする。ルークにとっては剣の師であり、最終決戦の相手となる。彼の計画は壮大であり、その信念の強さがルークの成長に影響を与える。
シンク 六神将の一人であり、ルークのレプリカ(複製体)。自らの存在意義を見出せず、憎悪を糧に生きる。アクションが素早く、戦闘では高い機動力を持つ。彼の戦いはルークにとって自身のアイデンティティを問う重要な局面となる。
リグレット 六神将の一員であり、ティアの師匠。銃を使った遠距離攻撃を得意とし、冷徹な判断力を持つ。ヴァンに忠誠を誓っており、過去の出来事が彼女の行動原理となっている。戦闘では精密な射撃と戦略的な立ち回りでプレイヤーを苦しめる。
主要な町や地域
バチカル キムラスカ王国の首都であり、ルークの故郷。王城がそびえ立ち、政治の中心地でもある。ゲーム序盤の拠点となる。スコアに基づいた統治が行われており、国内外の動きに大きな影響を及ぼす場所。
グランコクマ マルクト帝国の首都。水上都市として発展し、多くの文化が交差する国際都市。皇帝ペオニールが統治し、戦争回避に向けた外交の拠点となる。港町としての機能も持ち、交易が盛んに行われている。
ダアト ローレライ教団の総本山。スコアを管理する機関が存在し、世界の動向を左右する重要な場所。ここで多くの預言が発表される。街全体が神聖な雰囲気に包まれ、教団関係者以外の立ち入りが制限される区域もある。
主要なアイテムや装備
ローレライの鍵 ローレライの力を封じ込めた重要なアイテム。ヴァンの計画を阻止する鍵となる。古代技術によって作られたもので、特定の条件下でのみ真の力を発揮する。最終決戦で重要な役割を果たし、ルークの成長と覚悟を示す象徴でもある。
ロストフォン・ドライブ フォニムの力を増幅させる装置。ルークの成長とともに真の力が解放されていく。特定のイベントで能力が強化される要素があり、戦闘を有利に進めることができる。ヴァンの計画の鍵の一つとして扱われる。
神託の盾の紋章 ローレライ教団の象徴とされる紋章。教団内部の権力争いや陰謀の中心に関わるアイテム。歴史的価値が高く、特定のキャラクターとのイベントに関与する。教団の信仰を示す証でもあり、ルークたちの旅の中で重要な手がかりとなる。
フォニムブレード ジェイドが扱う魔法剣で、フォニムの力を刃に宿す武器。戦闘の戦術を広げる武器の一つであり、彼の戦闘スタイルを象徴する装備。ゲーム中盤以降に強化され、より強力な属性効果を持つ。
ストーリーとあらすじ
ルーク・フォン・ファブレは、キムラスカ王国の貴族でありながら、幼少期の記憶を失い、屋敷で隔離された生活を送っていた。ある日、剣の師ヴァンと稽古をしていた際、謎の女性ティア・グランツが現れ、ルークとともに遠く離れた地へと転送されてしまう。帰還を目指す中で、ルークは世界の争いの中心へと巻き込まれていく。
預言(スコア)に基づく世界の運営に疑問を持つヴァンは、自らの理想を実現するため暗躍しており、ルークはその計画の駒として利用される。旅を通じて仲間と出会い、様々な経験を積みながら、彼は自らの運命を切り拓くために成長していく。
やがて、ルークは自身の存在が“レプリカ”(複製体)であり、本物のルーク・フォン・ファブレは既に死亡していることを知る。衝撃的な事実に直面しながらも、彼は世界の命運を握る存在として、自らの意思で戦うことを決意する。
その後、彼はヴァンの陰謀を阻止すべく、仲間と共に各地を巡り、キムラスカ王国とマルクト帝国の戦争を回避するため奔走する。預言(スコア)に従う世界と、それを否定するヴァンとの対立が激化し、ルークは自身の存在意義を模索しながら、次第に仲間の信頼を取り戻していく。
物語の展開と結末
ルークたちはヴァンの計画を阻止すべく動き出し、スコアによって支配されている世界の真実を知っていく。ヴァンは世界の預言(スコア)を破壊し、運命に縛られない新たな世界を作り出そうとするが、そのためにはフォニムの力を制御し、既存の世界を破壊しなければならないと考えていた。
ルークは、ヴァンの計画の一環として引き起こされた大規模な災厄「アクゼリュスの崩落」によって、多くの命を奪ったことを知り、自身の未熟さを痛感する。仲間たちの信頼を失いながらも、彼は贖罪のために新たな道を模索する。彼は次第に仲間との絆を取り戻し、スコアに支配された世界に抗う決意を固める。
最終決戦では、ルークはヴァンとの師弟関係に終止符を打ち、運命を切り開くために戦う。激闘の末、ヴァンを打ち破り、フォニムの暴走を食い止めることに成功する。しかし、ルークの体はフォニムの影響で崩壊寸前であり、彼は自身を犠牲にして世界を救う選択をする。
仲間たちはそれぞれの未来へと進み、ルークの生還を信じ続ける。エピローグでは、ルークに酷似した人物が帰還するシーンが描かれ、彼が本物のルークなのか、それとも新たな存在なのかはプレイヤーの解釈に委ねられる。物語は、運命に立ち向かった彼の旅の終焉と、仲間たちの新たな道を示唆しながら幕を閉じる。
まとめ
『テイルズ オブ ジ アビス』は、「運命と自由意志」をテーマに据えた深いストーリーが特徴の作品である。スコアに支配された世界において、自らの意思で生きることの重要性が強調され、プレイヤーに考えさせられる場面が多い。
戦闘システムには、「フリーラン」と「FOFチェンジ」が導入され、アクション性と戦略性が大きく向上している。キャラクターごとの成長要素も充実しており、プレイヤーの戦い方次第でさまざまなスキルを習得可能となっている。
また、ルークの成長と仲間たちとの関係性の変化が物語の大きな軸となっており、彼の変化を見守ることで、より感情移入できる構造になっている。結末に関しては、明確な答えを示さない余韻を持たせる形となっており、プレイヤーごとの解釈が可能な点も魅力の一つである。
本作は、深いストーリーと魅力的なキャラクターに加え、戦略的な戦闘システムが融合しており、シリーズの中でも特に重厚なシナリオを求めるプレイヤーにおすすめの作品である。また、プレイヤーがルークの成長を見守る過程で、彼の決断に共感しやすくなっている。物語のメッセージ性の強さと、戦闘システムの完成度の高さが評価され、今なお多くのファンに支持されている作品である。
関連キーワード
- テイルズ オブ ジ アビス
- ルーク・フォン・ファブレ
- ティア・グランツ
- ヴァン・グランツ
- 六神将
- スコア
- キムラスカ王国
- マルクト帝国
- フォニム
- フリーラン
- FOFチェンジ

